はちどりわ〜るど

それでも自分の人生に満足してるその辺によくいる外資系会社員 20代にてガン宣告。手術・抗がん剤を経て「若年性がんサバイバー」1年生。/ 「毒親サバイバー」/「性暴力サバイバー」/準ミニマリスト/日々色々勉強中 ブログで自分の幸せ&社会の幸せを考えながら生きるヒントを綴ります

【元若年性がん患者が話したい】アートで見る 「科学の進歩の光と影」

こんにちわ。ハチドリちゃんです。

今回の記事では、2つのアート(イメージ)を紹介します。

私の心に深く響き、勇気を与え続けるアート作品、

トム・サックスさんの「ザ・クローラー」と

病気を抱えた人間達を救うため、エイズ撲滅のためのワクチンの研究に、

30年近く貢献したチンパンジーがサンクチュアリに解放された動画。

これらを見て、過酷ながん治療(科学)を耐えた、元若年性がん患者として思うことを伝えたいです。

 

トム・サックスさんの「ザ・クローラー」"The Clawler" by Tom Sachs 

2016年六本木の森美術館で開催された「宇宙と芸術展」の顔となっている模型です。

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Tom Sachs "Clawler" http://www.tomsachs.org/

 

このスペースシャトルの名は、1986年、今から30年前に打ち上げられた

「チャレンジャー」。

 

打ち上げられた73秒後に空中分解してしまいました。

 

宇宙飛行士の家族をはじめとする観客が希望を胸に

アメリカの旗を握りしめ、空を見つめ、

発射とともに歓声をあげ、

その73秒後、空中分解したチャレンジャーに

何が起こったか分からず、しばらく空を見つめ続ける観客たち。

理解した後、悲鳴をあげて地面に泣き崩れる人々。

ただ、無表情で空を見つめ続ける人々。

その様子は、動画として残されており、Youtubeでも見ることができます。

 

この事故は、様々な論争・批判を生み、

残された家族・仲間達の苦しさが痛ましく

多くのアメリカ人の心に大きな傷を残しました。

 

この人々の痛みに、トム・サックスさんは

”癒やし”をもたらすために、アートで表現しました。

 

なぜ、作品名はチャレンジャーではなく、「ザ・クローラー」なのか。

スペースシャトルは、組み立てする場所から発射施設まで

輸送機によって運ばれるのですが、

その輸送器の名前は通称「クローラー」と呼ばれます。

「クローラー」は、スペースシャトルほどの

重い物を運ぶのですからとても頑丈です。

しかし、その速度はとても遅い。

 

チャレンジャー(挑戦者)という名のスペースシャトル。

人間の夢や想い、そして努力も沢山詰まった重たい物が

生まれた場所から、飛び立った場所まで、ゆっくり慎重に運んだクローラー。

 

そのクローラー、”The Crawler”について語られることはあまりありませんが、

スペースシャトル達を”人間達の夢”のスタートラインまで確実に運び続け、

寿命となったクローラー達は、再利用され、

文字通りその形を変え、今も「夢」を支え続けています。

人々の幸せに貢献したチンパンジー達の動画

この動画は、エイズ撲滅のためのワクチンを研究に30年間貢献してきた

チンパンジーが、解放された時の瞬間の動画です。

これを見ると、人間のグロテスクさと人間のエゴを

責められるような気持ちになりますが

エイズ撲滅に直接的に結びつかなかったからといって、

人間の幸せのために動いた人間を責めても、なにも生まれません。

過酷な治療を経た元若年性がん患者が思うこと

元若年性がん患者の私は、過酷ながん治療(科学)によって、

一時的にQOLが著しく下がり、

同じ治療を受けたほとんどの人が経験しないことも、経験しました。

辛かった。本当に辛かった。そして正直今も辛い。

だけれど、”私という個”は症例となり、

いつしか将来の人間の幸せに役立つ時がきっとくる。

 

そして、過酷ながん治療を歯を食いしばりながら耐えても、

それでも助からない命があることに私は、絶望に近いものを感じます。

これを読んでくださっている方の中にも、

絶望・憎しみを感じている人がいるかもしれません。

底知れぬ悲しみが私の中にあります。

 

科学は本当に人の幸せに直結してきたかといえば、

スマートフォン一つ挙げても、一概に言えないことは、

日常的に感じることができます。

 

しかし、いつだって本来、科学は人間の幸せを目的に進歩してきました。

失敗することも多くあった。

科学の成功には大きな犠牲があったんだね。

だから、失敗も成功も支えてきた研究者達、医師達、

治験に手をあげた人達、動物達、機械達がいたことも

私は忘れたくないのです。

ありがとう。 

 

追記:

作品:クローラーがあまりにも好きすぎて、Tシャツを買いました。

 特に元気な時に着ています。

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